確定申告期限が過ぎると、よく皆さんに、こう、お声掛け頂きます。
「確定申告も終わって、ようやく落ち着かれる頃ですね!」
もちろん「ハイ!」と元気よくお答えするのですが、実は、この2か月間ほどは、何の仕事もそっちのけで、確定申告を優先して仕事をするものでして・・・。っという事は、ここからGWあたりまでが、遅れを取り戻す、もっともブルーな時期でもあります(泣)。
さて、そんな事はさておき、前回はサラリーマン税制として、給与所得の改正について一緒に見ていきました。サラリーマンの収入から、概算で差し引かれる給与所得控除額、この金額には上限が設けられました、という事でしたよね。
では、今回は、サラリーマンは、みんなその給与所得控除額を使わなきゃいけないのか!?という点について見ていきたいと思います。
例えばこんなサラリーマンから税務相談を受けたとします。
「私は、妻と幼稚園に通う娘を持つ会社員です。昨年の年収は500万円程度でしたが、昨年、2度の転勤を命じられ、妻子は元の住居に残したまま単身赴任しました。月に2度ほどは、妻子の元へ帰ることにしています。2度の引っ越し費用や妻子の元へ帰る費用が1年間で100万円、転勤ごとの関係先との交際費や、新たな業務に就くための図書費などが30万円かかりました。税務上、何か救済措置はないものでしょうか?」
ま、私が今作った話なので、あるようでない話ですが、皆さんはどう思われます?
こんな場合、一応ですが救済措置があります。サラリーマンなどには「特定支出」っていうものが認められており、この特定支出にあてはまる費用なら収入から差し引いていいよ!というものです。勿論、給与所得控除額を差し引くことも認められているので、簡単にいうと、どちらか多い方を差し引く、ということになります。
また、特定支出として認められる費用は、会社都合での引っ越し費用や帰郷旅費、研修費用や通勤旅費、業務上必要な資格(税理士や弁護士など特定の業務ができる資格は除く)をとるための費用、と決められていました。
このサラリーマンの場合、特定支出として認められるものが、引っ越しや帰郷費用の100万円。これに対し給与所得控除額は、年収500万円の場合だと154万円。ありゃ!?救済措置はありませ~ん!っと、こうなるのが改正前のおはなし。
実は、この特定支出を利用して確定申告するサラリーマンは、日本全国で数えるほどしかいない、そんな利用されない制度だったんです。給与所得控除額を超える支出をする人なんて、そうザラにはいない、ということです。
こんな使われない制度のままじゃ意味ない!ってことで、支出の範囲がより広がり、さらに、使える条件も少しだけ緩くなりました!
まずは支出の範囲ですが、さっきご紹介した今までの支出の範囲に加えて、税理士や弁護士などの資格取得費用もOK!さらに、図書費や衣服費、交際費などです。もちろん、業務をするのに直接必要なものに限るわけですが、なんだか一気に門戸が広がった感じがしますよね?
ただ、いらない制限がついていまして、図書費や衣服費、交際費などで差し引ける金額の上限は年間65万円なんだそうです。
一方、使える条件が緩くなった、という点については、まず特定支出が使えるかどうかの判定がこうなります。さっきのサラリーマンを例に計算すると・・・
図書費や交際費には上限がありましたので、30万円≦65万円 だから30万円全額OK!
特定支出の範囲にあてはまる金額:100万円+30万円=130万円
154万円(給与所得控除額)÷2=77万円<130万円 だから特定支出が使える!
では、何円差し引けるの?ということですが、こうなります。
154万円+(130万円-154万円÷2)=207万円
おっと、この例だと以前に比べて随分と税負担が減ることになりますね。
実際の運用にあたっては、会社の承認を得た支出に限ることになるなど、他にも注意点が生まれてくるかと思いますが、これまで「領収書」とは縁遠かったサラリーマンも、せっせと領収書を集めることになるかもしれませんよ!
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